違法と脱法のあいだ、バングラ人的感覚

日本では脱法ハーブのニュースが時々流れますが、違法と脱法の違いって分かるようで分からない。
広辞苑によると、脱法は「法に触れないような方法で、実際は、法が禁止していることを犯すこと」とある。

ここバングラでは、そもそも摘発されなければなんとかなる的な意識があるように思える。
政府の敷地であるのに、なぜか民間企業が遊園地を作り、あたかも合法であるかのように営業が続き、
気が付けば実は不法占拠・不法営業だったという事例がある。
その場所は、いわゆる高級住宅地に位置していて、しかもその地域の目抜き通りに面しているという大胆さ。
あまりの堂々さにまさか違法だったとはいまだに信じられない。
今では完全に遊具施設は撤去され、公園に生まれ変わろうとしているところだ。

建設現場でも日本人との感覚の違いを見せつけられる。
日本人からすれば、建設資材は当然建設現場の敷地内に保管すべきで、公道に置くなど言語道断。
私的な建設事業のために公道のスペースがなくなるなんてまさにアビリバボーだと思う。
ところが、バングラでは平然と建設現場周辺の公道は建設資材置場として使われている。
そのせいでちょっとした渋滞になることもしばしば。
南アジアでは自分さえよければ他人は関係ないという光景をよく見かけるので、自分の得になれば誰に迷惑がかかろうと関係ないのだろう。

違法と脱法の狭間ということであれば、スラムもまさにグレーゾーンの代表格。
明らかに不法占拠のところもあるが、不法だからということですべて撤去すればいいかというと人道的側面から微妙だというところで
不法であっても単純に割り切れないところがグレーゾーン。
しかしながら、この前まではあばら家があったかと思えば、当局の不法占拠一掃の対象地となり、気が付けば何もなかったかのようになっていたりする。
ただ、不法に建てられていた住居はなくなったとしても、そこにいた人は消えてなくなるわけではない。
故郷に帰ることもなく、いわゆるFloating peopleやホームレスとして道路脇での生活を続ける人もいれば、郊外の街へ移動し、またスラムを形成する人もいる。
結局は、都市では人口の多さに対して雇用を吸収できるだけの産業がない、求人はあったとしても貧困から教育水準が十分ではないという問題があるせいだと思う。
BRICSに次ぐ新興国の一角を担い、製造業でもチャイナ+1の候補の1つでもあるバングラデシュではあるが、未来は決してバラ色ではないのが現状だ。