「沸騰都市・ダッカ」は今

ダッカ市内の新興地域の目抜き通り

湖岸の貧困層の住宅

線路沿いの商店と住宅

汚染された河川

旧市街付近

約6%の経済成長を続けているバングラデシュの首都ダッカ。世界最貧国のひとつに数えられながらも目覚しい経済成長を遂げている「沸騰都市」としてNHKスペシャルで紹介された都市の1つである。この成長を支えているのが農業生産、海外就労者からの送金、そして繊維製品輸出で、特に既製服・ニット製品の欧米や日本への輸出は順調に伸びてきている。

H&MやZARAは日本でも人気があり、ファストファッションの代名詞的存在だが、世界的に店舗展開しているこれらの企業は早くからバングラデシュでの委託生産を行ってきた。日本企業としてはユニクロがバングラデシュに進出していて、ヒートテック製品などが製造されている。
一方で、貧困問題は今でもバングラデシュにとって大きな課題の1つだ。世界銀行の統計資料によると、貧困率は40%であり、成人の識字率は55%にとどまっている。ダッカ市の中でも、湖岸や線路沿いに多くの貧困層が居住しており、経済成長の果実を受け取っている層とそうでない層との差が街の景色からもはっきりと見て取れる。
都市部では環境汚染も著しく、川の水は上流側の工場からの廃水や生活排水などによって、すっかり黒色に染まっているが、それでも近隣住民にとっては水浴びや洗濯などの生活水として欠かすことができない。
また、ダッカといえばリキシャが有名だが、今でも市民の重要な交通手段として利用されている。運転手の多くは地方からダッカ市に出てきた人たちで、1日数百円の収入を得ながら生活を送っている。