探検家 吉田勝次の足跡 レポート No.3 [ベトナム]

火山洞窟探検~inベトナム社会主義共和国(Vietnam、越南)
今回の探検記はベトナム社会主義国のダックノン省が舞台です。
日本との距離は3,600km、時差は-2時間。

太古の昔に噴火した火山から流れ出た溶岩の中に出来た、溶岩トンネルを探検しました!
実は、この溶岩トンネルを訪れるのは3回目。
この洞窟との初めての出会いは、単身でベトナムでの洞窟予備調査を行った2007年の事。
2回目は2010年、日本火山洞窟学会の調査として行きました。
そして今回、3回目の調査は2013~2014年の年末年始、年越しでの探検でした。

今、広大な溶岩の大地に立っています…
ここはかつては高温でドロドロの溶岩で埋め尽くされていた場所です。
地表と洞窟の中から、当時の溶岩の流れを観察し、洞窟が伸びている方向を読み解いていきます。

このレポートを書いた1月、日本は冬ですが、ベトナムの昼間の気温は30℃以上になり、立っているだけで汗が吹き出ます。
車で行けないジャングルの中にある洞窟の入口へは時間を有効に使うためにトラクターをチャーターしました。
荷台に荷物と一緒に乗り込みます。

今回は縦穴を昇降するための装備、写真機材、食料、食事を作るための火器類や
洞窟の中で宿泊するため装備などストリームトレイルのバック40L、6個に詰め込んだ。

ベトナムのジャングルも長くてよく刺さるトゲの植物が多いから
トラクターに乗っていても時々引っかかってひどい目に合います。
溶岩の流れに沿って移動します。

ジャングルの中を歩いて洞窟の入口をチェックしますが
日が沈むと夜行性のサソリも出てきます。

現在、発見している洞窟の入口は7か所。
その1つに到着して洞窟の底から伸びている樹木にロープをセットします。

慎重に縦穴の底までで降りて行きます。

地上の気温は36℃。洞窟内の環境は気温20℃ 湿度は90%、空気の流れは若干あります。

日本の観光地にある洞窟のほとんどは鍾乳洞ですが
富士山周辺にある風穴、氷穴などは溶岩の中に出来る火山洞窟です。
昔、火山の火口から1000℃以上の溶岩が流れ出して流れながら
地上に接している溶岩は冷えてゆっくり固まって流れが遅くなっていくのに対して
下の方の溶岩は温度を保ちながら更に流れていくために差が生じてやがて空間が出来てくる。
更に中にガスが溜まり高温、高圧の空間が出来てそこをどんどん高温の溶岩が流れていく。
それが溶岩トンネルのオーソドックスな出来方です。
溶岩トンネルを溶岩が流れている瞬間は見られないけど
遠い昔にここを溶岩が凄い力で流れていったのをいろいろな痕跡で考察していくと感動します。

洞窟の入口付近は地上よりも短い限られた時間しか太陽の光が入らない場所。
それ以上奥になるとまったく太陽光線が届かないので植物は一切、生存できない場所。
そこはコケやシダで緑色の幻想的な独特の世界を作り上げています。
広大な溶岩の大地は草木が生えて生命が戻って来ています。
生命の破壊と再生を繰り返して地球は変化していき、人間も環境に適合して進化していきます。

今回の探検で溶岩が流れ出したの火口が分ってきました。
発見された洞窟の入口の中で最上流部の縦穴から
火口までまだ発見されていない数キロの洞窟の存在がある可能性が高くなってきました。
この洞窟の全貌が明らかになるまでまだまだ探検は続きます。
これからもベトナムの未踏の洞窟に足跡を残していきます。