カリフォルニア、ロサンゼルスを出てロードトリップの旅が始まった。
目的地は車で6時間ほど北にあるサンタクルーズ。私自身初めての場所。
飛行機で1時間半もあれば到着できる場所だが、時間をかけて車で移動するお楽しみは道中に無数にあるサーフスポット巡り。サーファーの自分にとっては、雑誌に載るようなスイーツ店や絶景スポットに寄りたいと思う女子と同じ感覚である。
普段サーフコンテスト目的で海外に来ることがほとんどだが、オフシーズンに入り自由に旅ができる事がとても嬉しかった。
レンタカーが頼んだものより小さく、サーフボードと荷物と人でギュウギュウに詰められたが、それも旅の良い思い出となった。数名のサーファーと共に未知の波を求めた。私達にはありがたいことに、車社会のアメリカは5車線ある広い高速道路もほとんどが無料で、車に2人以上乗っていればCAR POOLレーンで渋滞も回避できた。
素晴らしい波との出会いは早くも訪れた。車を走らせていると遠くの方で沖から規則正しく押し寄せる波が見えた。駐車場からポイントまでは歩いて10分かかったが、初めての景色ともうすぐあの波に乗れると思うと足取りも軽くなり、数時間後海から上がる頃にはみんな笑顔だった。
すっかりお腹を空かせてタコス屋へ寄り道。安い3ドルのタコスひとつでボリュームは十分だった。都市から離れるにつれて景色はビルから山になり、混雑もなく5車線もあった道路もいつしか2車線へ。ナビの案内は”150キロ先を左へ” など当たり前になっていた。
サンタクルーズに到着したのはすっかり暗くなった頃。荷物を降ろし、その夜は明日出会う波と景色を楽しみにしながら眠りについた。目が覚めて歩いて海へ向かう。外は寒くすーっと透き通った空気だった。思ったよりカリフォルニアが暖かく、今回使わない荷物と思われていたコートとブーツが役立った。借りたお家は50歩も歩けばサンタクルーズで有名なプレジャーポイントに行けるサーファーとしては夢のような場所にあった。海岸線は崖になっていて、海沿いの道にはたくさんの可愛らしい家が並びその中の一軒が1週間、私達の家となった。初めてのサンタクルーズの海はオレンジ色の朝日を浴びて輝き、崖の上から見る景色は壮大で、自然が残されている部分と綺麗な家々を見ると、長い間海と共存しサーフィンと共に生きてきた歴史が感じられた。
サンタクルーズにはすでに冬のうねりが入り、鳥肌が立つくらいのワールドクラスの波が割れている。いざ海に入ると日本では中々見られないものが日常的にあることに驚いた。真横を大きなペリカンが飛んでいき、岸の方まで波に乗って行くとアザラシが顔を出していたり、沖に向かう途中にはラッコが貝をコツコツと石で割っているのが見れて何度も感動したのを覚えている。犬と散歩する人達、スケートボードで移動する子供達、サーフボードを持った人達、ここは平和でゆっくりとした時間が流れている。少し車で移動すると大きなショッピングモール、海の近くでは可愛らしいカフェや雑貨屋さんがあり海と街の雰囲気が両方味わえる素敵な街だった。アイスクリーム屋さんでアイスに焼きマシュマロをトッピングしてもらったのはこの旅1番の衝撃の美味しさだった。
初めての場所での旅は毎日が冒険であり、新鮮で新しい発見があり、自分を成長させてくれた。温かく迎えてくれた地元のサーファー達のおかげで更に楽しく充実した旅になったことに感謝したい。サンタクルーズ、自分がもう一度訪れたい場所のひとつとなった。