核開発問題に揺れるイラン

イランで思い浮かべるものはペルシャ絨毯それともピスタチオ?
一時期は上野公園でテレカを売ってるというのも有名な話だが、
映画好きにはイランと言えばアッバス・キアロスタミ、石油業界の人には世界で初めて石油開発を行った国、
遺跡好きにはアケメネス朝ペルシャ帝国時代の都であったペルセポリス遺跡、日本では悪魔の詩事件というのもある。

思い浮かべるイメージは人それぞれですが、最近ではやはり反欧米の国というイメージが強いと思われる。
現在のイスラム革命体制以前は親欧米の国王による近代化政策が進められていたが、
1979年2月のホメイニ氏を中心とした反体制派によるイスラム革命により、宗教上の最高指導者が国の最高権力を持つ国家が樹立された。
このあと、1979年11月のテヘランでのアメリカ大使館事件、1980年には長年国境をめぐって対立関係にあったイラクとのイラン・イラク戦争の勃発と激動の事態に突入していく。
イラン歴ホルダード月(3番目の月)14日はホメイニ師の命日であり2012年は6月3日がこの日に当たる。
例年この命日には同氏が眠っているホメイニ廟に全国から数十万人が集まると言われており、テヘランの街中は追悼ムードに染まる。
ホメイニ師の名前に関しては良く「イマーム・ホメイニ」というのを目にするかもしれないが、
このイマーム(もしくはエマーム)というのはイスラム教の宗教指導者を意味する。
ちなみに、イスラム圏でイマームと同じくらいよく耳にするのがシャヒードだが、これは殉教者を意味している。
現在のイランは核開発問題に揺れているが、「核エネルギーの開発はイランの権利である」という立場を貫きつつも、
アフマディネジャド大統領は「核爆弾は持ってはならないもの」とも発言している。
これに対してアメリカはイランの主張を疑う姿勢を見せており、関係国による協議は平行線のまま続けられる一方で、
欧米による経済制裁はさらに強められてきている。

とはいえ、イラン国内ではFacebookやTwitter、Googleなどにはアクセスできないものの、
首都テヘランにはハンバーガーやピザなどのファストフード店があふれ、
待ちゆく若者は西欧ファッションに身を包み、多くのアップル製品も売られているのが実情だ。
また、イスラムの国と言えば街中に轟音が響きわたる「アラーフ・アクバル」のアザーンや、1日5回のお祈りがあるが、
イランではアザーンが鳴り響くことはなく、お祈りに関してもそれほど厳格ではなく、比較的自由な考え方を持っているようだ。
イスラム教にはスンニ派とシーア派の2大宗派があり、預言者ムハンマドの死後、イマームの後継者の地位をめぐって宗派が分裂した(シーア派は血統を主張、スンニ派はコンセンサスによる決議を主張)とのこと。