新大統領就任後のイランの行方やいかに

昨年からの欧州等による経済制裁の強化により、原油輸出が大幅に減少し、
国内経済にも大きな影響を受けつつあるイランですが、それでもイラン経済の底力、人々の購買力には驚かされます。

イランの暦では春分の日が新年にあたり、その前は年末ムード一色となります。
中東でも最大規模のバザールとしても知られるテヘラン・バザールは年末年始の準備のために、
歩くスペースもないくらいに賑わっていました。
まさに年末の上野のアメ横のような状態で、札束を抱えて買い物をする人があちこちで散見されます。

一方で、外国為替市場に関しては、2012年5月ごろの米ドルとのレートが1ドル=17,500リアルだったものが、
2013年3月には1ドル=36,000リアルにまで落ち込み、大統領選以降持ち直しつつあるものの、
米ドルに対するリアル安の状態が以前続いています。
インフレも進行しており、市民の日常生活にも影響が出てきています。

例えば、テヘラン市内を走る市バスの料金は2,000リアルだったのが、3,750リアルまで上昇しています。
このような状況を打開すべく、欧米諸国との対話を再開し、経済制裁解除に向けた道筋をつけてもらいたい国民は、
2013年6月14日の大統領選に大きな期待を寄せていました。

ところが、大統領選への立候補を認める最終的な承認をするのは現体制のトップである最高指導者であり、
反体制的な候補者はこの時点ですべて落とされてしまい、選挙戦に出ることも叶いません。
今回の大統領選では、元大統領でさえこの候補者承認の段階で立候補を認められず、
国民の選挙に対する期待が大きく削がれる結果となりました。

しかしながら、最終的には保守穏健派のハッサン・ロウハニ氏が反体制派や改革派政党の支持を集め、
保守強硬派候補に大差をつけての勝利となりました。
核利用に関する基本的な方針は、新しい大統領になったとしても変わることはないと予想されますが、
経済制裁解除に向けた対話の促進、経済の立て直し、表現の自由の回復については大きな期待が寄せられています。
大統領が交代した2013年8月以降、核開発に関する西側諸国との対話、イスラエルとの緊張状態、
シリア内戦の影響、国内経済の改善に向けた対策など、イラン情勢から目が離せません。