ネパール 国家の統一、道半ば

ネパールでは「社会包摂」が国造りの1つのキーワードになっています。
というのも、多様な民族、カースト、宗教があるため、国をまとめていくためには古くからの慣習や差別などを乗り越えていかなければなりません。

山岳部から農業に適した平原に移り住む民族があったり、
政府の政策でトラや象などの野生動物に日常生活を脅かされているグループが別の場所へ移住したりということもありますが、
その移住先にはもともとその地域に住んでいる民族もいることから、
もともとその地域に住んでいる民族と移住してきたグループとの調和も重要な課題になっています。

政府の政策により開発されている移住地では、道路や配電網などのインフラや農地が整備されており、
移住地に移ってきて安心して暮らせるようになったという人もいれば、
移住地の生活に馴染むことができず元の地域へ戻りたいと考えている人もいます。

また、移住地はインフラの整備が進んでいることから、将来の値上がりを見越して、
そもそも移住の対象となっていない裕福な世帯が投資のために買うということも起きています。

文化や民族の多様性はその国の魅力でもある反面、混乱や紛争の原因にもなるものでもあり、
その対応の難しさに多くの国がチャレンジを続けています。
ネパールもその国の1つであり、政治の混沌と停滞で、国家統一の道のりはまだまだ険しい状態です。